確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに給付額(年金又は一時金)が決定される企業年金制度です。
平成13年10月に従来の適格企業年金制度の廃止に伴い、その後継制度として確定給付年金制度とともに制定され、掛金等の運用責任を企業ではなく加入者個人が負っていることが確定拠出年金の特長です。
確定拠出年金には、企業がこの制度を導入する「企業型」と、個人が任意に加入する「個人型」があり、原則一つの制度にしか加入できません。
「企業型」は実施企業に勤めている従業員(役員も加入可)を対象とし、掛金の上限は原則55,000円(人/月)です。
「個人型」は自営業者等(国民年金の第1号被保険者)や勤務先に企業年金制度がない会社員(国民年金の第1号被保険者)が対象となります。掛金の上限は加入者の状況(1号被保険者又は2号被保険者)により異なります。(68,000円又は23,000円いずれも人/月)
「選択制」確定拠出年金とは
「選択制」とは制度設計のひとつの手法です。従業員自身が確定拠出年金の掛金として拠出するか前払退職金として給与に上乗せして受けとるか、その選択を行います。
従業員が自ら加入及び拠出を選択する、ゆえに「選択制」と呼ばれます。中小企業では給与の一部を変更して(前払退職金を導入)、前払退職金から確定拠出年金の掛金を拠出する方法が一般的であり事業主が新たな掛金負担を伴わず企業年金制度を導入できることが選択制の普及を後押ししています。
現行給与を減額し、減額分と同額の「生涯設計手当」(前払退職金)を新設します。「生涯設計手当」一部または全部を掛金とするか、給与として受け取るかの選択を従業員の方は行います。
※残業代や休日出勤手当等の計算では加入者に不利益にならないよう就業規則や賃金規定等を変更します。給与減額は従業員様への十分な説明と同意が必要です。
「選択制」加入者のメリットは、老後生活の準備ができることに加え、税金、社会保険料の軽減効果が期待できることにあります。
確定拠出年金の掛金は所得税、住民税の対象外となるので所得税は拠出月から軽減され(住民税は翌年から)、社会保険料についても算定基礎から除かれますので、掛金額によっては厚生年金保険料等が軽減される可能性もあります。
事業主にとっては、折半負担である社会保険料の圧縮効果が期待できます。
会社は、従業員が自分の老後資金を積み立てる機会を提供し、そのために新たな掛金等の拠出は行わない。また従業員にとっては、自分の責任で老後資金の積立を税制上有利な制度を利用することによって行うことができるとうのがこの選択制確定拠出年金の意義となります。
※選択制確定拠出年金は、加入者にとって加入から給付の受給時まで税法上の優遇措置が定められているので、無理なく老後資金の積立を継続することができます。